陳式太極拳 王西安大師に学ぶ その3


 河南電視台(テレビ局)が撮影、インタビューしに来ました。王西安大師は、陳氏太極拳の四天王、四大金剛と称されていて、近代に到っては「一代太極拳大師」の称号が与えられています。日本にも空手などの武道があるが、なぜ陳式太極拳を学ぶのか。王西安大師に何年も学びに来るのは何故かなどの質問を受けました。

陳式太極拳 王西安大師に学ぶ その1


今年の夏も陳式太極拳19代伝人、王西安大師よりいろいろな事を学んで来ました。日頃稽古をしていて見過ごしていた身体的な気づきがあり、実りあるものでした。

 全身鬆開(放鬆)を第一に考える。放鬆というのは、とても多くの物を含んでいる。鬆の中には開と合を包容しており、緩めるということを本当に理解するのは難しい。

陳氏太極拳の王西安老師に学ぶ

 ブログ「おれの師匠」で掲載しましたが、師匠が17年間学んで来たお蔭で、陳氏太極拳19代伝人の王西安老師に「山口の弟子は私が直接教える」と言ってくれます。王西安老師いわく、「もともと陳式は秘伝で、陳家以外の人は教えてもらうことができなかった。でも、私の尊敬する陳照丕老師はとても開放的な方で、私のような異姓の者にも快く教えてくれた。その師の姿勢を私も継ぎたいと思っている」と言われ昔から学んでいる私達も学ぶことが出来るのです。
 この縁を大切にして、これからも真剣に学んでいきたいと思います。陳式太極拳に関心がある方は、是非ご連絡ください。

敬心道場の目指すもの(その2)

 私の尊敬する時代をこえた師匠は、幕末の山岡鐵舟先生です。稽古が終わったあとに弟子たちに以下のような訓話をしております。
「剣や禅の精進によって、人間は宇宙の一分子であり、天地同根であることがわかってきたら、われわれは我を去らなければならない。我を張り滞ることによって、天地の調和が崩れていき、混乱が始まる。滞りはすべて我執から起こっており、剣法は結局その我執を脱却する修行の一つなのである。
 この心境を得ることができれば、自由闊達、融通無碍、自在に剣を操ることができるようになる。技の修練と精神の錬磨は常に表裏の関係であることを忘れてはならない」
 敬心道場においても、太極拳をつうじて最初は武術でも健康法でも結構です。さらに精進していくと、太極拳はひとつの手段であり、太極理論を身をもって体得することの大切さが理解できるでしょう。
 鐵舟先生の言葉を引用するならば「天地同根一体の理を悟るためにある」ことを目指しております。

おれの師匠

 私の師匠は、禅僧の山口博永老師という方です。
 老師は26歳のとき、禅寺で修行時代に外国人の友人が庭で古式の太極拳を行っているのを見て、禅と深いつながりがあると直観する。
 1975年インド巡拝旅行の帰り、本場の太極拳を学びたくて台湾に立ち寄ったところ、運よく武壇の劉雲樵老師のもとで陳式太極拳を中心に通算5年間学ぶことになる。この武壇は、漫画「拳児」の原作者で武術研究家の故松田隆智氏も学んでいたところです。
 そして1979年に中国大陸に渡り、陳氏太極拳19代伝人、陳小旺老師に学ぶことになります。
 建国後の中国で、直接習った外国人であった。台湾で基礎が出来ており、とても真面目に学んでいたので、陳小旺老師も部屋に鍵をかけて真剣にいろいろと教えてくれたそうです。
 山口老師は、太極拳を禅の修行のごとく黙々と稽古を続けながら、毎年訪中して老師から与えられた課題を消化していったそうです。陳小旺老師に7年間、その後、19代伝人、王西安老師に17年にわたり学んできました。
 そのお蔭で山口の弟子ならば私が直接教えると言ってくださり、私達も王西安老師に毎年学ぶことが出来ております。
 その後、師匠は縁があって2000年より陳式18代伝人の馮志強老師に陳式心意混元太極拳を学ぶことになります。
 師匠が今日まで拳禅一如として純粋に修行してきたからこそ、劉雲樵大師、徐紀老師、陳小旺老師、王西安老師、馮志強大師、陳項老師などの超一流の先生方に巡り会えたのだと思いました。
 私も山口老師に出会ったのが21歳の学生時代でした、その5年後、拝師して今日まで人生の師として導いて頂き、とても深く感謝しております。
 道元禅師は、正しい師匠を得なければ修行してもだめだと申しておられます。
皆さんも、学びは是非一流の先生についてください。