第26章 陳氏太極拳 十九代伝人 陳小旺老師 その5

『 その時の約束で、 それから二十五年間毎年行くことになるとは … 』
私達は帰国後、陳式太極拳を学ぶ会を設立してみんなで練習に励みました。そして多くの仲間を得て二次訪中団は二十名の団体で行くことができました。
帰国後6時間の練習陳老師も日本での太極拳の発展を喜ばれて、一次同様に熱心に御指導いただきました。
そして帰国後、私は第三次訪中までの一年間、一日六時間の練習をこなし、特に二次の際に受けた身法の要求を全て成し遂げたという自信を持って三次訪中に臨みました。
ところがです…三次訪中に、またしてもおなじ所を手直しされてしまいました。今回は自信満々であったので、いささか感情的になってしまった!というのも、同じ箇所を前回の要求とは異なりまた別の要求で、しかも初心者扱いされて気持ちが切れてしまったのです。
《それでは私の一年間の練習は無駄ではないか!なぜ前回に今回の身法を教えてくれなかったのか!私は武壇で基本的なものは出来ている自信があったし、また陳老師自身も私の老架式の動きを見て、良い評価をしてくださったではないか!》
といった慢心めいた不満でありました … そして《結局!外国人には本当のところは教えないのか!》という疑念まで抱いてしまいました。
陳老師はそれに気づいてかどうか、次のように説得されました
『私は毎日八時間の練習をします、しかしどんなに練習をしてもその時々において師からの適切なアドバイスが無ければ見当違いな方向に進歩はして行くが、それでは伝統的な段階に行く事は出来ない』そう言いながら次に伝授してくださったのが五層の功夫の拳理でありました。