第20章 和尚

自叙伝 和尚後に知るのであるが、どうも 《和尚が武術》というと、伝説的な中国崇山少林寺の僧とだぶり、なんともアニメチックな気合いを感じさせるらしく、どうやらあの怪しい笑いの裏には 《クスグッタイ奴!》 とでも云うのが本音ではなかろうか ー 私は気持ちの悪い奴から、くすぐったい奴 ー と見切られたようだ。


自叙伝 和尚まぁ … とにかくその後も、台湾のどこに行っても《和尚が武術を学習していると聞くだけで大いに受けて、興味をもたれ色々と世話をやかれました。 そのおかげか、住まいは台北佛教居士会の一室を無料で借りる事ができ、とても助かりました。


自叙伝 和尚しかし良い事ばかりでも無く、居士会の近くにある食堂街に行っても、私が和尚であるという理由から、たとえ野菜食を注文しても、『 肉や魚を料理した鍋で煮たものだから、あなたはダメ!』と断られ、いつも一緒について来る二人の親切な台湾人と店の主人の間で口喧嘩が始まる、それでも結局はバスを乗り継いで素菜と呼ばれる精進料理店まで行く羽目になってしまう…。素菜館まで行かなければ食事も出来ないという不便さから、いつも同行のお二人の案でその後、非僧非俗の姿、 … ジーンズに五分刈り … に変装させられて、この問題は一件落着となった!


自叙伝 和尚 武壇に行って1ヶ月過ぎたころ、どこで聞きつけたのか新聞社が取材にきて、台湾全土に写真入りで紹介されてしまいました … しかし台湾では和尚というだけで、ずいぶんと助けられたのはたしかです。 … そして日本語の出来るあの二人にも!本当、心から感謝しております。


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