第28章 拳理 その2

理を語る2ところで、  剛(+) 柔(-) 相済(=) は 無(0) を学ぶことであると、表現すればとても分かりやすいとおもいます。無とは0、《 0 》とは矛盾(陰陽)の統一の《 一 》根元の一気、《 太極 》であります。この 一 は、万法帰一の 一 でもあり、私たち人間も含まれた万物一体の一元的姿、であるのです。


OLYMPUS DIGITAL CAMERA拳理に《 吾等の身体の中にはもともと自然に陰陽開合の理、が存在しており、これに逆らうことは出来ない 》と解かれる所以であります。  - + = 0 ・ この暗示的数式で陰陽太極の理は解き尽くされており、太極拳の実践的原理の目標を 《 矛盾の統一 》 と解きます …


OLYMPUS DIGITAL CAMERA《 五陰(-5)五陽(+5)が太極(0)の妙で、これはかたよりがなく妙手と呼ばれ、太極空と成し混然とした境地である 》…
この一つの働きを《 一 運 一 太極 》と言うのです。
私たち人間の日常は陰陽矛盾で有る為に … 人生の目標はバランスの統一にあるのです。
陰陽の統一と陰陽の矛盾 ー 矛盾も統一も陰陽という〝素材は同じ〟であることに注目して下さい 。


OLYMPUS DIGITAL CAMERA人生とはその時、その場の陰と陽のバランスにおいて ー〝 正 邪 〟異なるのです。
正と邪 損得、良し悪し、苦楽は別物ではなく、両方の素材はおなじなのです。
それ故、《 人人 各居 一太極 》といえども 《修せざれば現れず 証せざれば得ること無し》ということになります。
五層工夫を説明しますと、練習の初めは 1陰9陽 から始まります。アンバランスを承知して始めねばならないのです!太極拳の動作でアンバランスのことを ー こだわり・こわばり ー と申します。
〝こだわり〟とは心の執着! … 私たち日常の習慣として 〝 物と我、自と他 〟からくる 差を〝 分別する 〟事がこだわりの元凶であり、それが自身の自己防衛となって、こだわるのです。こわばりとは日常の習慣で人体的な癖をいいます。
このように、陰陽二気がはなはだしく矛盾を起こしているところから、1陰9陽と表現するのです。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA太極拳の五層の段階とは、陰陽矛盾から始まり、形の熟練によって内の気を調え貫通させていく身体の法であります。
(体と呼吸と心の一つが調えば他の二つも調う道理から心身の鍛錬の法といわれる)。
さらに、気は内外の合一をはかる力を持ちます。
この五段階の過程を完成させて行く筋道を次のように、2陰3陽、3陰7陽、4陰6陽、そして5陰5陽と表現するのであります。
それは 太極 に至る道を解くのです。
陳老師の云われた ー どんなに練習をしても師からのアドバイスが無ければ斜め上がりに進歩はしても、次の段階に行く事は出来ないとは ー 太極拳は形の練習ではなく形はあくまでも内勁(気)を促すためにある ー ということで、内勁の無い太極拳は太極拳ではない! 又内勁が貫通すれば、外形は意のまま(千変万化)になるということであります。これは三層以上の段階であります。陳老師は私の陰陽矛盾、体のこわばり即ち外形を直したのではなく内勁が貫通するように指導してくださったのです。
やはり 正師 を得なければ 道 の成就は ありません。