第23章 陳氏太極拳 十九代伝人 陳小旺老師 その2

さて演武は言い出した中国側からと云う申し出を、それでは礼に反するという理由から私達日本側から始めました。
一人一人が緊張感の中にも全力で演武を行いました。
私は、台湾で聞いた〝大陸では文革後すでに失伝した〟という老架式を臆することなくやりました。
王西安先生と朱天才他の人達もそれぞれの演武が無事終わりその後、中国側の演武が始まりました。
いやはやそのレベルの予想はついていたが、さすがに ー


中国側の演武2技の切れ味などは武壇で見た上級指導員並みで、とてもとても私達の演武で対抗できるものではありません!
演武も後半に入り、いよいよ陳老師が出る期待から喉もカラッカラ ー


中国側の演武3まずは例の小柄で横柄な先生がやたらと我々を睨みつけながらの酔拳、その挑発的な態度がこれ又なんとも妖艶な迫力で迫ってくる ー。


単鞭 陳小旺そして 最後!ついに陳小旺 … 千載一遇のチャンス!とばかりに ー 私はその時、意を決して礼儀もわきまえず、事前に申し出ると断られるかもしれないと考えた8ミリカメラを、構えた!
そしてそのレンズを通して見た光景に度肝を抜かれた


陳先生 跳躍〝 ウワ~!なんなんだこれは! …〟もう無我夢中でカメラを回し続けた
なんとも言いようがない … 五年前に見た徐紀老師と同じ感動にただただ震える手で一生懸命8ミリを回しておりました。
何なのか?今まで見たことのない柔らかさ … 陽炎ににて
形が掴めない … かと思った瞬間閃光が走る! …
何が起きたのか動きが見えない( 後日8ミリをスローにして初めて見える動きだ!)
これも後日談ですが陳老師は私の8ミリを見て〝まさか〟と意表を突かれたらしく私が8ミリを向けたことをよく覚えておられた!やはり撮影は禁止であったらしいー でもその後政治局の上司から今回は〝中日友好の為〟ということでフィルムの没収はまぬがれた)