第3章 幼い時の記憶

自叙伝 幼い時の記憶余談ですが、私の記憶は一歳頃から始まっているようです。後に出家をして、四歳頃までの色々な思い出を書き綴ったところ、六十いくつかの出来事を、あたかも昨日のように書き出すことができました。

そして、その中でも一番古い思い出として、これが私の人生の出発点となったのではないかと考えさせられる思い出があります。

それは、ある日の寒い朝、金色に輝く朝日をいっぱいに受けて、私は母の着物にすがって立っておりました。

母は近所の人に朝の挨拶をしながら、談笑し、そして縁台に新聞を広げました。

間もなく母が、突然驚きの声をあげて「えっ!ガンジ-が亡くなった!」と叫びました。

・・それからまた新聞を食い入るように見たあと、ため息まじりに私の方を見ながら「お前もなぁ、大きくなったらこういう人になってほしいなぁ!」と悲痛な声で囁いた、その言葉が今もこの耳に残っております。

その時私は、母を見上げながら『うん!わかった! なったる!』と、きっぱり言い放った事を記憶しております。 その時の情景と母から受けた強い印象が今も、私の潜在識の中にはっきりと刻まれています。

私が母の願いに応えて出家をしたのかと思うと、感慨無量であります。

なんと幸せな母子であることか!たとえその後に二人の辛い別れがくるとしても・・・。

そういえば先日、インドに深い思い入れのある人と話しをしていたとき、この話しになって、彼が「では、これからあなたはガンジーのように何をしますか?」と問われたとき、私は即座に「今、いつもガンジー翁と同じものを見ていますよ!」と答えました。その人は分かってくれたでしょうか?

それよりもその時・・・、私は、母との約束を思い出してなんとなく嬉しかった・・・。